インプラントと差し歯の違い、正しく知っていますか?
「歯を失ったらどうすればいいの?」と悩む方は多いと思います。歯を補う治療にはいくつか方法がありますが、なかでもよく混同されるのが「インプラント」と「差し歯」です。この2つは見た目は似ていますが、構造や治療方法、適応条件がまったく異なります。この記事では、歯科の専門知識がない方でもわかりやすいように、インプラントと差し歯の違い、そしてそれぞれのメリット・デメリットについて丁寧に解説します。正しい情報を知ることで、自分に合った治療法を選ぶ手助けになるはずです。

目次
- インプラントと差し歯の違いとは?
- インプラントの構造と治療の流れ
- 差し歯の特徴と治療方法
- 両者のメリット・デメリット比較
- どちらを選ぶべきか?判断のポイント
1. インプラントと差し歯の違いとは?
まずは、インプラントと差し歯の「そもそもの違い」から押さえておきましょう。
- インプラントは「歯を根っこからすべて失った場合」に行う治療で、人工の歯根(インプラント体)をあごの骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着します。
- 差し歯は「歯の根が残っている場合」に使える治療法で、神経を取った歯の根(歯根)に土台(コア)を立てて、その上に被せ物を装着する方法です。
つまり、インプラントは“根ごと失った歯の代わり”、**差し歯は“根は残っている歯の修復”**という大きな違いがあります。
2. インプラントの構造と治療の流れ
インプラント治療は、高度な技術を要する外科的処置です。以下のようなステップで進行します:
構造
- インプラント体(人工歯根):あごの骨に埋め込まれるチタン製のネジ
- アバットメント:インプラントと人工歯をつなぐパーツ
- 人工歯(上部構造):見た目の歯にあたる部分
治療の流れ
- 診察と検査:レントゲンやCTで骨の状態をチェック
- 埋入手術:インプラント体をあごの骨に埋め込む
- 治癒期間:骨とインプラントが結合するまで約3〜6ヶ月待機
- 上部構造の装着:アバットメントと人工歯を取り付けて完成
外科手術を伴いますが、見た目・機能性ともに自然歯に非常に近くなります。
3. 差し歯の特徴と治療方法
差し歯は、歯の根が残っていれば可能な比較的シンプルな治療法です。虫歯が進行して歯の大部分を失っても、歯根が健在であれば差し歯での修復が可能です。
構造
- 歯根:自分の歯の根を残す
- コア(土台):歯根に立てる支え(レジンコアやファイバーコア)
- クラウン(被せ物):土台の上に装着する人工歯
治療の流れ
- 神経を取り、歯の中を消毒
- 土台(コア)を作製して装着
- かぶせ物を装着して完成
治療期間は短く、1〜2週間程度で完了することが多いですが、歯根の状態によっては再発のリスクもあります。
4. 両者のメリット・デメリット比較
比較項目 | インプラント | 差し歯 |
見た目 | 非常に自然で美しい | 材質により自然な見た目も可能 |
噛む力 | 天然歯とほぼ同じ | 元の歯根の状態により変化 |
治療期間 | 長い(数ヶ月) | 短い(数週間) |
費用 | 高額(自費診療) | 比較的安価(保険適用の場合あり) |
手術の有無 | 外科手術が必要 | 手術は不要 |
適応条件 | 骨の状態が良好である必要あり | 歯根が残っていることが必須 |
耐久性 | 適切なケアで10年以上持続可能 | 根の状態により寿命は異なる |
どちらも一長一短があり、口腔内の状態やライフスタイルによって向き不向きがあります。

5. どちらを選ぶべきか?判断のポイント
以下のような基準で、どちらの治療が向いているかを判断するとよいでしょう。
インプラントが向いている人
- 歯を根元から完全に失っている
- 周囲の歯を削りたくない
- 長期的な機能性と見た目を重視したい
- 外科手術に抵抗がない
差し歯が向いている人
- 歯根がしっかり残っている
- 短期間で治療を終えたい
- 治療費を抑えたい
- 手術は避けたい
迷ったときは、信頼できる歯科医師に相談し、検査を受けた上で判断することが大切です。
まとめ
インプラントと差し歯は、どちらも歯を失ったり、損傷したりしたときに用いる有効な治療法ですが、その構造や目的、費用、治療期間などは大きく異なります。
インプラントは「根から失った歯」の代替であり、**差し歯は「根が残っている歯の修復」**です。見た目だけではわからない違いを正しく理解することが、後悔のない治療選びにつながります。
自分にとって何が最善かは、お口の状態だけでなく、ライフスタイルや価値観にもよります。まずは正しい知識を持ち、歯科医院でしっかり相談するところから始めてみてください。未来の健康な笑顔のために、一歩を踏み出しましょう!
その歯科クリニック 歯科衛生士 上田